以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 85 号 (2008.4.10 刊) からの抜粋引用です。

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今回は、「1. 北岡のメルマガだけで北岡を理解することは可能か?」、「2. 『トナール NLP』と『ナワール NLP』について」、「3. アンカーリングの効果は絶大であるべきなのか?」についてお伝えします。


1. 北岡のメルマガだけで北岡を理解することは可能か?

私は、最近、私の本メルマガを読んだだけで、私のすべてがわかったようになっている人がいると聞き、ある種「驚愕」しました。

私のメルマガなど「死書」で、こんなものだけで「自己変容」など絶対不可能だし、文法書だけを読んでドイツ語を習得しようとしたり、運転マニュアルを読んで車を運転しようとするくらい「愚行」ではないでしょうか?

私自身、左脳的知識は、右脳的体験のため「だけ」のために存在すべきだと考えていますし、右脳的体験が左脳的知識に取って代わることはありえても、その逆は絶対ありえないという立場で、この左脳的なメルマガのコンテンツを出し続けているだけです。

私の師匠が言ったように、「私の指が差し示している月 (実際の右脳的体験) の方向に自分自身の顔を向けて、自分自身で月を見るべきであって、指 (左脳的な、私の言葉) に絡み取られて、ああだこうだと議論することはまったくのナンセンスです」。

その意味で、5 月末から毎週末に開催される「JNCA 主催 NLP ワークショップ シリーズ」で「実際に私のワークに触れて」 (それも懐疑主義的に触れられるよう強くお勧めします)、私のワークを右脳的に体験される方々とお会いするのを今から心待ちにしています。

おそらく、いい意味での「期待の裏切り」がたくさんあると思います。


2. 「トナール NLP」と「ナワール NLP」について

最近、計 2 回の「北岡式 NLP 紹介プチ ワークショップ」が開催されました。

3 月 26 日に開催された同ワークショップ シリーズその二、「シャーマニスティックNLP」は、参加者が 20 余名で、非常に興味深い変性意識ワークが紹介できたかと思っています。

このワークショップの後、懇親会がありましたが、出席者の一人が主催者を通して、私にある質問をしたのですが、その質問は、私にとっては衝撃的でした。

それは、「本ワークショップのトピックとも関係のあるカルロス カスタネーダ式の『トナール vs ナワール』と『OLD コード NLP vs NEW コード NLP』には相互関係がありますか?」というものでした。

(カスタネーダの描く中米の呪術的世界観では、人間の認識の領域を「トナール」と「ナワール」に分けて考えられていて、トナールは「言葉で切り分けられた世界」、ナワールは「言葉で切り分けられない世界」の意味です。)

私は、この質問を受けたとき、直感的に「OLD コード NLP = トナール」、「NEW コード NLP = ナワール」の図式が成り立つのでは、と思いました。

すなわち、私には、トナールは「マインド」、「左脳」、「論理」、「こちらの世界/日常世界」の世界を意味するように思え、ナワールは「ノーマインド」、「右脳」、「直感」、「向こうの世界/神秘」を意味するように思えますが、この観点から言うと、OLD コード NLP は明らかにトナール的方法論で、NEW コード NLP はナワール的方法論です。

NEW コード NLP の端緒となったグリンダー著『個人的天才になるための必要条件』では、グリンダー氏とディロージャ女史は、カルロス カスタネーダの世界に強く影響を受けたワークを行っています。

私には、グリンダー氏が、1995 年頃ロンドン市内のレクチャーで以下の発言をされたとき、「トナール NLP」の限界性を指摘し、「ナワール NLP」の必要性を説いていたのではないか、と今思えます。

「今から約 20 年前に、私とリチャード バンドラーが、様々な帰納法的なワーク [著者注: これは、たとえば、ビデオを何度も見直して膨大な『生のデータ』から偉大なセラピストの行動/思考パターンという『公式』を見出したという意味です] の末 NLP というまったく新しい体系を作り出し、現在、幸いなことに NLP は、教育、セラピー、ビジネス、プレゼンテーション、スポーツ、芸術、司法など社会の数多くの分野にすでに浸透していて、今後ともほぼ全分野に深く行き渡っていくであろうことは、共同創始者の私としても嬉しいかぎりです。ただ、私の見るところ、20 年前に私とバンドラーが NLP を創始した後、どうも 『NLP の (他の分野への) 適用』というものだけが存在してきているようで、私は個人的には、20 年前の私とバンドラーが行ったような努力をして、新しいものをクリエートする NLP 実践者が新たに出てこないかぎり、NLP は今後徐々に衰退していって、20 年~30 年後にはやがては消滅してしまう可能性があると思っています。」

その危機感から、グリンダー氏は、結局のところ「ナワール NLP」である「NEW コード NLP」を創始されたのだと、今考えています。(私自身は、このトピックについて直接個人的にグリンダー氏と話したことはありませんが。)


3. アンカーリングの効果は絶大であるべきなのか?

4 月 1 日開催 NLP & コーチング体験セミナーでは、アンカーリングの演習がなされました。

私のデモ演習に参加されたクライアントの方は、過去にあまりアンカーリングは利かなかった、ということでしたが、デモ演習の最中に、カリブレーション力のある人々にとっては明示的な変化が、顔の表情、目の動き、口角、呼吸、姿勢等に現れていました (参加者で NLP 新参者の方で「何の変化も見えない」と言う方もいらっしゃいましたが、これは、NLP を学ばないかぎり、あまりにも 4Ti に入り込んでいることを意味していると思われました)。

私は、「意識的には気づかれていないでしょうが、無意識のレベルでは多くの変化が起こっていますよ」といった意味のコメントをさせていただきました。

この方からは、セミナーの後、

「セミナーでデモをさせていただきました。

自分の持っていたアンカリングがきいているかどうか、ピンと来ない、という疑問、問題が、解決できました。NLPerやカウンセラーでしかカリブレーションできてていないような微妙な外見的な変化が、実際には起こっていて、アンカリングの効果が出ていることを、感じられました。

北岡さんのメルマガ、キーさんのインタビューや、以前の日本NLP学院のHPの記載内容から、かなり左脳的なNLPの分析を柱としたセミナーなのかと想像していましたが、まったく違いましたね。

また、参加したいと思います。」

という感想をいただきました。

この方は、セミナーの中で「他の人は、アンカーリングで主観的体験が劇的に変わった、という報告をするが、自分はそんな体験はないので、どこかおかしいのでは、と思っていました」という意味のことをおっしゃっていましたが、私にとっては、自己変容の第一歩は、自分の内的状態のどれだけ極微な変化に気づけるようになれるか、です。

そのような極微あるいは微細な変化の積み重ねが、ドミノ式の大変化を引き起こすのであって、劇的な変化しか気づけない人々は、おそらく微細な変化に気づけていない可能性がありますし、さらに重要なこととして、その変化が一時的な緊張解放を意味するだけで、永続的な変化を引き起こせないでいる可能性もありえると思います。

いずれにしても、意識的に気づいていようがいまいが、無意識では、確実に変化が起こっているのであって、究極的には、意識がその変化に気づいているかどうかは、自己変容の観点から言えば、それほど重要ではない、と結論づけられるかもしれません。

ちなみに、本メルマガの第 81 号で、私は次のように書かせていただきました。

「ちなみに、『いつのまにか自分の知らないうちに行動変容が起こっている』ということこそ、私が最も重要視している『療法的』効果です。このことについては、ジョン グリンダー氏も『意識化される自己変容の過程は、特定の狭いエリアだけに限定されてしまう一方で、無意識的に起こる自己変容の過程は、(意識的な限定の制約を受けないので) 非常に幅広いエリアまでその効果がますます波及していく傾向があります』という旨のことを国内の講義中におっしゃっていたことがあります。(劇的な) 一時的な効果ではなく、永続的な肯定的変化を達成して、ますます自己成長が加速していくことが、NLP の本道的なあり方である、というのが私の意見です。」

なお、過去の体験を思い出す際に「当事者意識 (アソシエーション)」と「部外者意識 (ディソシエーション)」の二通りの方法があります。アンカーリング演習の際の過去の体験にアクセスする際は、当然のことながら、「当事者意識」で思い出さないと、そのときのリソースのある状態にアクセスしづらいことは、自明の理です。

作成 2023/12/21