以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 これが本物の NLP だ!」第 16 号 (2004.5.26 刊) からの抜粋引用です。

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先週末に英国 NLP 学院認定大阪第一期プラクティショナー コースのモジュール 1 が開講されましたが、コースの進み具合が非常に有意義に感じましたので、今回は、読者の皆さんにその経験をシェアリングしたいと思いました。

まず、コース参加者の顔ぶれは非常に多彩でした。JMA 主催のヒプノセラピーの卒業生や関係者の方々を含む代替医療実践者、学生からビジネス パーソン、会社経営者の方々まで、本当にユニークで、その道で活躍されている方々ばかりが集まっていると感じました。

特に、当初は純粋に私のメルマガの読者として私のことを知ったり、私の訳書を書店で買って私のコースのことを知った方々が数人程度いらっしゃったことに感銘を受けました。

さらには、 国内の他の NLP 関連団体のプラクティショナーとマスター プラクティショナーの資格をお持ちで、バンドラー氏主宰の (トレーナーズに匹敵する) コースにも過去にすでに参加された方が二名いらっしゃいましたが、お二人とも、まったく過去の NLP の知識をゼロにリセットして一から私に学びたいと思っていらっしゃった、ということでしたので、このお二人のご謙虚さには非常に驚きを覚えました。

NLP そのものに対する興味をお持ちの方と、私の教え方に興味をお持ちの方がいたと思いますが、特に後者の方々に関しては、当初私のメルマガを読んで私のコースに興味を持たれた方は、左脳思考すなわち論理情報だけを期待されたかと思いますが、私の持論の「知識は、体が覚えるまでは、噂にすぎない」、すなわち「論理情報は、体感記憶の感性情報として落とし込まれないかぎり意味がない」というスタイルの教え方に大きな新鮮さを覚えたのではないでしょうか?

ちなみに、NLP を実際に体験しないとその価値はほとんどわからないことを示す比喩としては、英語がどれだけ読めても話せることにはまったくつながらないことを、ここで再強調しておきたいと思います。すなわち、機能上、言語は、書かれた文字ではなく話された音として生まれ発展する表現形態である以上、実際に話せないかぎり価値なしと見なされるべきものであることと同じことが NLP についても言えるわけです。

一方では、常々「本物の NLP」を教えていると自負している私としましては、国内の他の NLP 団体とトレーニング内容を客観的に比較したいと思ってきていましたので、今回の在校生にそのような比較ができる方がいらっしゃるので、比較結果を非常に楽しみにしています。この方々には、私の講義には辛辣な目で接した上で比較していただきたい旨をお伝えしました。

概して言って、コース参加者の方々は、NLP に大きな可能性を見出したようでしたが、従来の方法論である「内容志向」とはまったく異なった視点の「過程志向」の NLP の方法論に慣れるまで、今後のモジュールまで少し時間が必要になるかもしれないという印象も受けました。つまり、自分の思考/行動パターンが変化し、拡張する際には、必ず「混乱」を経験する移行時期が存在するわけです。

一点、コース参加者からいただいた非常に興味深い質問として、「北岡先生がこれほどまで NLP は従来のセラピーや催眠療法を超えている、と言われるということは、たとえば催眠療法はもう用なしで、放棄すべきだということを意味されているのですか?」といった意味の発言がありました。

この質問に対する私の答えは、「私は、セラピーや催眠療法を完全否定しているわけではなく、アリストテレス以来過去 2500 年の哲学と心理学の歴史を超えていて、しかもありとあらゆる分野に適用可能な方法論である NLP を習得すれば、セラピーや催眠療法を含む自分自身の専門領域でトップの本物の専門家になれる、ということを意味しているだけです」というものでした。

確かに、短い時間で NLP プリゼンテーションをしなければならない関係上どうしても「背景説明なしに断定的に」物を言う必要のある私の NLP 紹介セッション、ワークショップでは、「精神的病いを持たれている方に対する先生の扱いがぞんざいに感じる」、「セラピーに敵対しているようで、それに対する敬意が感じられない」といった印象をもたれる方が少人数ながらいらっしゃるようです。

しかしながら、 個人的には、このような意見ほど私の内情からかけ離れているものはないと考えますし、そうではないことは、大阪第一期コースの参加者の方々も直感的に感じられたのではないでしょうか?

すなわち、 まず第一に言えることは、NLP をマスターした今ある自分がいるのは、過去の私の長期の心理療法の経験を前提にしています。NLP 自体、当初はセラピーから生まれているので、セラピーの経験を完全否定することは NLP の存在理由を否定することにもつながりかねません。

第二に、コース参加者で上記の質問をされた方は、「催眠療法で絶大な効果を現すクライアントがいる一方で、まったく効果のない人々もいる」とおっしゃっていましたが、まさしく、NLP はそういう場合に利用活用すべき補助手段として見なされるべきで、セラピーを完全に置換するべきものではない、と思います。

最後に、私は、NLP を習得された上で非常に優秀なパフォーマンスを挙げるセラピストがいたとしたら、言動不一致の NLP トレーナーなどとは比較不可能な形で、諸手を挙げてその方を影から応援させていただきたい、と思っているということを知れば、私がセラピーに敵対していて、それに対する敬意が感じられない、といった感想は的を得ていないことがわかると、願っています。

以上が、先週末に起こったことでした。今後とも、大阪第一期および東京第二期のプラクティショナー コース参加者の皆様方に、その方々にマジカルな成長と変化が訪れられるように、私なりの貢献ができることを祈っています。

作成 2023/10/13