以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「旧編 新・これが本物の NLP だ!」第 130 号 (2010.1.19 刊) からの抜粋引用です。

* * * * * * *

今回は、「北岡新 NLP FAQ、その二十一」のトピックがカバーされています。


1) 北岡新 NLP FAQ、その二十一

Q51 (130): 北岡先生の近い将来開催の、特に、今回告知されるとお聞きした 3 月に初めて開催される「個人的天才になるための必要条件」、その他のワークについてご説明ください。

A51 (130): 「個人的天才になるための必要条件」ワークショップの開催概要は、サイト等で参照していただきたいですが、以下のことが特に言えるかと思います。

すなわち、このタイトルこそが、私が初めて本格的に NLP と知り合うきっかけとなった、1988 年の春に英国ロンドン市のリージェント カレッジで開催された、ジョン グリンダー氏とジュディス ディロージャ女史のワークショップのタイトルでした。

「個人的天才になるための必要条件」は、世界中で開催されたお二人のワークショップ シリーズの名前で、初期の 1986 年 3 月にカリフォルニア州サンフランシスコで開講したワークショップの内容転記本が同名のお二人の共著本として出版されていて、私は同本を数年前に翻訳させていただきました。(原著名は『Turtles All the Way Down: Prerequisites to Personal Genius (どんどん下に重なっていく無数の亀: 個人的天才になるための必要条件)』です。)

実は、1988 年に、グリンダー氏とディロージャ女史は「パートナーシップ」を解消されていますので、おそらく、私が受講したロンドンでの「個人的天才になるための必要条件」ワークショップが最後の開催だった可能性があります。(なお、お二人の最後の共同ワークは、パートナーシップ解消後単なる契約履行されただけの 1989 年のカリフォルニア サンタクルーズでの、私自身も参加した、マスター プラクティショナー資格コースと、私は理解しています。ちなみに、2002 年に私が NLP ユニバーシティでトレーナーズ トレーニング コースを受講したとき 14 年ぶりに再会したディロージャ女史は、私の耳元で、1988 年当時、グリンダー氏と結婚されていた、と囁かれたのは、非常に印象的でした。私自身、その後、カルメン ボスティック女史とパートナーシップを組まれたグリンダー氏に対してよしと思っていない「親ディロージャ派」の人々を何人か知っています。)

このワークに接するまでは、私は、セラピストの方向性に進んでいましたが、グリンダー氏の影響を受けて、1988 年以降、私は、一貫して、「凡人を天才にする方法論としての NLP」を学び、教えてきています。

いわば、それ以前は、マイナスの人をゼロにリセットする方向性で、それ以降は、マイナスをプラスにする方向性とも定義できますが、この二つの方向性は、それぞれ、本メルマガの第 5 号で指摘した以下のメカニズムの「0% から 60% までの進化」と「99% から 99.9% までの進歩」に対応していると言えるかと思います。

「興味深いことに、低いレベルで学習で大きな進歩を果たすことは、まったく努力が不必要ではないにしても比較的に容易である一方で、高いレベルで極微の学習進歩を果たすことは極めて難しいことであるように思われます。たとえば、初心者のテニス プレーヤーが飛躍的な学習進歩 (たとえば、学習全体の比率で言って、0% から 60% までの進歩) を遂げるために必要な量と同じ量の努力とエネルギーが、その人がトップのテニス プレーヤーになる (たとえば、99% から 99.9% までの進歩) ために必要になるようにも思われます。」

ここで、明確化しておくべきことは、 この文脈での「個人的天才」とは、何もベートーベンやアインシュタインやピカソのような、社会的認知の観点から定義された「普遍的天才」ではなく、個々人自身の専門領域で自分自身の潜在性を開花させ、充全なパフォーマンス能力を発揮できている「自分が所属する業界での第一人者」という意味にすぎないです。

私自身、1988 年にグリンダー氏の「個人的天才になるための必要条件」ワークショップを受講した後、この「個人的天才」の意味合いで、自分の天才性を磨いてきています。すなわち、私は、NLP を学ぶ以前から興味のあったエリアを含む、以下の四つのエリアで、自分を、最高のパフォーマンス レベルを発揮できる「個人的天才」にしているという自負があります。

1) 英語を含む語学学習
2) NLP
3) 精神世界
4) 片手でのコンピュータの小キーボード操作

(ちなみに、私は、これらのエリアの一つ一つに関して、他のどの日本人にも負けないであろう技能とノウハウを身につけていると自負していますが、このことは、私の過去の試行錯誤的なコンテンツ学習に費やした時間と努力についての自己満足と自己激励ではあっても、別に自分の「エゴ」に関する自慢ではありません。なぜならば、私は、この 4 つのエリア以外のこと (自動車の運転、水泳、会計、工芸、電子工学、等すべて) については自分はまったくの「ど素人」と認めることができるからです。)

この 4 つエリアでの「個人的天才性」を確立してきた過程で、私は、これらのエリアでの「個人的天才になるための必要条件」をスリムな形で公式化してきています。本ワークショップでは、その公式がワークショップ参加者に対して開示されることになります。

なお、グリンダー氏とディロージャ女史共著書の『個人的天才になるための必要条件』では、比較的難解なトピックが扱われていますが (同書の邦訳書は、高価で、内容的にも、ワークショップの内容転記本にもかかわらず、日本人の基準から見て、これほど左脳的で、レベルの高い質問がワークショップ参加者からなされることはまずないだろう、といった感想をもつほどです)、私のワークショップは、あくまでも北岡式「個人的天才になるための必要条件」ワークであり、この翻訳書を、参考にすることはあるにしろ、ワークショップ テキストにするわけではありませんね。

本ワークショップでは、たとえば、NLP を使えばどのような「個人的天才」になれるかの一例として、北岡が得意とする「片手でのコンピュータの小キーボード操作」 (英語の直接打ち) の実演が行われるものとします。

本ワークショップは、北岡式「個人的天才になるための必要条件」ワークの紹介の機会ですが、将来的には、このワークのシリーズ化を検討してみたいと思っています。その場合は、さまざまな分野での「個人的天才」の方々の北岡によるモデリング ワークを予定しています。

以上が、本ワークショップの概要説明ですが、追加として、ここで特別に、「個人的天才になるための必要条件 (= いかにすれば凡才が天才になれるかのメカニズム)」の一つか二つについて、語ってみたいと思います。

まず第一に、水平的思考から垂直的思考に移ることが必須です。このことは、「一を知って十を知る」ようになることと等価です。

ただ、NLP 的に言って、4Te と4Ti を超えた「メタ」に抜けることが最重要であると私が主張しているのと同じ意味で、実は、場合によっては、あえて水平的思考をすべき (つまり、「あえて馬鹿になる」べき) 状況も存在します。ただ闇雲に垂直的思考を求めても天才になれないのは、非常に逆説的で、非常に興味深いですね。

この、「あえて水平的思考をすべき (つまり、「あえて馬鹿になる」べき) 状況」に関連することとして、具体例を挙げてみたいと思います (これらは、すべて、同じメカニズムに基づいています)。

1) 私は、十数年前に煙草を完全禁煙しましたが、このきっかけになったのは、英国の深夜番組での「喫煙派 vs 禁煙派」の視聴者参加型グループ討論の番組でした。

この討論の内容は、本当に「低級」で、私は、反吐が出るほどの極端な嫌悪感に襲われました。それまでにも何度か禁煙と喫煙を繰り返していましたが、このときばかりは、あまりの嫌悪感に、あまりにもくだらないこれら両方の立場を「金輪際超越」してみたいと心底から思いました。

そのとき、ふと、現象的に、仮にもし煙草を吸い続けた場合、決定的に、否定できない形で自分は喫煙派に分類されざるをえないが、仮に煙草を吸うという行為を現象的にしない場合、確かに禁煙派と分類される可能性もあるが、同時に、喫煙派と禁煙派の両方を超えた、NLP でいう「メタ」の立場と分類される可能性もある、少なくとも、煙草を吸うかぎりその「超越の立場」に立つことは論理的に絶対不可能だ、という思いに至りました。

この思いが、私を完全禁煙させたという次第でした!

2) 同様に、私は、自分のワーク中に、よく、「仮に私がここにいて、たとえば、フランス語を (現象的に) しゃべっていない場合、これは、二つの可能性を示唆しています。一番目は、『フランス語がしゃべることが「できない」からしゃべっていない』状況で、二番目は、『別の場所ではしゃべることが「できる」が、たまたまその場所でしゃべってない』状況です。この場合、前者には自由がない一方で、後者には自由があることは明らかです」と言っています。

この目に見えない部分が見えない人が凡才で、見える人が天才、ということになります。

3) この差がどのように見えるかについては、私は、拙著『5文型とNLPで英語はどんどん上達する』で、以下のように述べています。

「英語を『完全習得』したと言えるのは、自分が理解できない文に出会ったときに、その文が理解できない理由は、そもそもその文自体が構文的に間違っているので、それ以上読解しようと試みる必要がないからなのか、それとも、その文は構文的に正しくて、見慣れない単語を辞書を調べたり、スペルミスを正したりさえすればその文がちゃんと理解できるようになるからかなのかを的確に自分自身で判断できる能力を備えたときだ。」

第二に、私は、本メルマガの第 80 号で以下のように書かせていただいています。

「ベイツンによれば、(たしか聖書の一説からの引用だったと理解していますが) 『右手が行っていることは、左手が行っていることに干渉してはならない』という原則が存在します。

ここでのこの原則の意味合いは、左脳的演繹法的作業を行うべきときに右脳的帰納法的作業を混じらせてはならず、左脳の行っていることに右脳が介入すべきではないということです。もちろん、右脳の行っていることに左脳が介入すべきでもありません。

この各脳の分担機能の不適切で不必要な介入が、一部の学習困難を引き起こしているように、私には思えます。」

以上のことは、私が「個人的天才になるための極意」と見なしている、私が開発した「アメリカン クラッカー モデル」と密接に関連していますが、このモデルについては、本ワークショップで詳細に解説がされます。

なお、「個人的天才になるための必要条件」ワークは、他の「NLP と瞑想」、「北岡マインドワーク」、「起業家支援塾」ワークと被る内容にはなっていません。

特に、「 北岡マインドワーク」は無意識ワーク (NEW コード NLP 的ワーク) で、「起業家支援塾」は意識的ワーク (OLD コード NLP 的ワーク) で、相互に重複する部分はあまりなく、むしろ相互補完しあっていて、両方で「ホーリスティック (全体的)」なワークが構成されています。


Q52 (130): 今回、北岡先生のトレーナーズ トレーニング コースが終了したようですが、その最大の特徴は、プレゼンテーション技能の完全習得とお聞きしましたが、この点について詳しく知りたいと思います。

A52 (130): そうですね、今回終了したばかりの私のトレーナーズ トレーニング コースの主目的は、「プレゼンテーション技能の完全習得」でした。

私は、1989 年にカリフォルニア州サンタクルーズでグリンダー氏とディロージャ女史からマスター プラクティショナーの資格認定を受けた後、1995 年にドイツで、リチャード バンドラー氏のトレーナーズ トレーニング コースを受講し、2002 年にはサンタクルーズの、ロバート ディルツ氏とディロージャ女史主催の NLP ユニバーシティでトレーナーズ トレーニング コースを受講し、認定されましたが、これらのトレーナーズ トレーニング コースは、いわばプレゼン力を習得させるコースでした。

さらに、2006 年から 2007 年にかけてグリンダー氏が国内で開催されたトレーナーズ トレーニング コースに私はオブザーブ参加しましたが、このコースもプレゼン力習得を主目的としていました。

ということで、私のトレーナーズ トレーニング コースも、コース参加者が NLP トレーナーとして NLP 学習者に対してプレゼンテーションを行う技能の完全習得を目指すものでした。

本コースの第一の特徴は、プレゼンタが、いかに全面的に自分自身の無意識を信頼でき、「頭が真っ白な状態」になったときにもっとも高レベルのパフォーマンスが発揮できるか、に焦点が合わされている点にありました。

このような逆説的なことは、最近グリンダー氏が提唱している NEW コード NLP や、「マインドワーク」を含む、私の最近の「無意識ワーク」で達成可能になっています。

この点が、「意識的」な操作だけに焦点を合わせた、通常のプレゼン力向上セミナーとは、一線を画しています。さらに、通常のプレゼン セミナーは、パワーポイントの利用に大きく依存していますが、そのセミナーの主催者たちは、パワーポイントは、優先表出体系が聴覚的または触覚的な人々にはあまり効果がないという決定的事実を見逃しているようですし、たとえば、私が最近出席したセミナーでは、パワーポイントを使ったプレゼン中、部屋の照明を真っ暗にして、プレセンタの聴衆のカリブレーションをほぼ不可能にしている状況に出くわしましたが、個人的に、なぜこのような「自殺的行為」が「プレゼン講習セミナー」で可能になっているのかは、まったく理解不能でした。

本コースの第二の特徴として、5 モジュール中、最初の 3 モジュールでは、高度なプレゼンに必要な技能の「種明かし」とこれらの技能の個別の習得演習がなされ、後半部の 2 モジュールでは、妨害とパターン中断の中で、どれだけ自分自身の状態管理ができるか、の観点からの「プレゼン演習、演習、演習」セッションでした。

その結果、最終日に各参加者の卒業査定セッションが行われましたが、ほぼ全員、トレーナーズ トレーニング コースを受け始めたときとは雲泥の差があるようなプレゼンをされていました。特に、全員、私がプレゼン技能で一番大事と強調している「時間管理」をしっかりされていたのは、驚きでした。

参加者からは、「前半部の 3 モジュールの内容の意味はわからなかったが、後半部の実践的演習の連続では、(それまで学んだことが有機的につながるようになり) 本当に有益で、ためになりました」とか、「昨日までのトレーナーズコース、本当にお世話になりました。NLP について、さらに一段深く学ぶことができたとともに、 まだまだ先は深いぞ、、、ということを感じさせて頂き、 今後のモチベーションが大きく上がるコースでした」といったフィードバックを受けました。

私のトレーナーズ トレーニング コースの技能向上演習のパッケージがどれだけ効果的だったかは、今回の 13 名の認定トレーナーの方々が将来証明していってくださるだろうと願っています。

さらにまた、他のトレーナーズ トレーニング コースを受けられた NLP ピア以上の実力をつけていると評価されるような結果を市場で見せていっていただけるものとも期待しています。

作成 2024/2/4