以下の文章は、北岡泰典のメルマガ「新編 新・これが本物の NLP だ!」第 22 号 (2014.3.31 刊) からの抜粋引用です。

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今回は、以下のトピックがカバーされています。

1.国内の「引き寄せの法則」の間違った理解のされ方について

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1.国内の「引き寄せの法則」の間違った理解のされ方について

最近、私は、ロンダ バーンの『The Secret (ザ シークレット)』、『The Power (ザ パワー)』、ウォレス D. ワトルズの『The Science of Getting Rich (お金持ちになる科学)』、ナポレオン ヒルの『Think and Grow Rich (思考は現実化する)』、チャールズ F. ハーネルの『The Master Key System (ザ マスター キー)』等の英語オーディオブックを iPod Touch で聞いてきています。

私の自身の理解では、ロンダ バーンの『The Power』の中で、ベストセラーになった『The Secret』の「種本」だと著者自身が告白している 100 年前の古書はウォレス D. ワトルズの『The Science of Getting Rich』です。

さらに、私は、個人的には、国内でのナポレオン ヒルの教材の販売のされ方は好きではないですが (あまりにも強引の売り方がされてきていると聞いています)、元の原書は、極めてすばらしい「自己啓発書」と考えています。

思うに、「自己啓発」の英語の原語は「Personal Development (個人的成長)」ですが、私には、この日本語は、極めて「汚染」された言葉だと思っています。

私の個人的理解では、西洋では、70 年代以降、あまりにも行き過ぎたセラピーの一派である「Est (Erhard Seminars Training)」 (私自身、80 年代初めにフランスのパリで 10 日間の Est 合宿ワークに参加したことがあります。また、後に Landmark Forum という名前に変わったようです) の方法論が巷で跋扈し、これが、日本には「ライフダイナミックス」という名前で輸入され、この団体のセミナーで、参加者が何度も救急車で運ばれるくらいハードなセラピー ワークが行われたので、この「悪評」が「自己啓発」という言葉そのものと結び付けられるようになったと聞いています (ライフダイナミックスがはやっていた頃、私は日本にいなかったので、この情報は又聞きですが、多かれ少なかれ正確な情報だと私は思っています)。

ということで、私は、常々、本来の個人的成長である「Personal Development」と、日本式の「自己啓発」は、似てまったく似非なるものと思ってきています。

さらに、私は、本来的な Personal Development の源泉は、ウォレス D. ワトルズ、チャールズ ハーネル、ジョセフ マーフィー、ナポレオン ヒル、ウィリアム ウォーカー アトキンソン (この著者の著書の一つの副題は『本書は影響力がありすぎるので、一般大衆向けには発禁にすべきだと言う人もいます』になっています! なお、この本は一応和訳されています) 等が提唱した「ニューソート (新思想)」(成長の家の創始者の谷口雅春もこの運動から強い影響を受けています) にあると思っていて、かつ、「ニューソート」の現代的焼き直し版が、巷で流行ってきている「引き寄せの法則」であると理解しています。

ゆえに、真の意味で「引き寄せの法則」を理解するためには、ニューソートの正統な源泉を、それも英語で研究すべきであるというのが、私の個人的な意見です。

ちなみに、NLP は、西洋では、本来の意味での Personal Development の正統な方法論として認知されてきていると思いますが、日本では、日本語の意味での「自己啓発」業界に含まれてしまっていることに、日本特有の「悲劇」が起こっていると思います。

この悲劇に関連して、以下の二点が指摘できます。

1) これまでの私の 12 年間の NLP 講義の経験から言って、「一万時間」の学習の試行錯誤の時間を費やす用意のあると思われる西洋の Personal Developers とは異なって、国内の「自己啓発者」は、「私のような怠惰な人間が即天才になれる方法をどうか教えてください」と言っているような気がしてなりません。

思うに、NLP のような切れのよすぎる方法論は、本来的には、「決断力」、「集中力」の精神状態である「ゾーン」にどのようにして即、恒常的に入れるか、ぎりぎりのところで勝負しているスポーツ選手、芸能人、経営者等の人々にとっては、間違いなく「垂涎の的」になるかとは思いますが、ゾーンとは無縁の (= ゾーンに入っても、発揮すべきコンテンツがまったくない) 「単なる自己啓発者」が学んでも、凡庸な結果しか出ないのは、当然の帰結のように思います (私には、ゾーンに入って発揮すべきコンテンツをもっていない人々は、ゾーンを単なる気持ちのいい (トランス) 状態と捉えていて、そこから「娑婆」に戻ると、また凡庸な日常生活に戻っていって、また同じ人間に戻ってしまうだけのように思えてなりません)。

2) 最近、ある方と、「ニューソート」の現代的焼き直し版である「引き寄せの法則」について興味深い議論をもったので、報告したいと思いました。

私は、たまたま、この方に、私が最近開発した「バンドラの箱を開ける」ワークを紹介する機会がありました。

ワークの後、この私のワークは、「正」 (自分の好きな部分) と「反」 (自分の嫌いな部分) を統合して、「合」に向かう、「ノーマインド (未分化) → マインド (分離もしくは二律背反) → メタマインド (再統合)」 (ちなみに、この私自身の図式は、「梵我一如説ヴェーダンタ」の創始者のシャンカラチャリヤの「非二元論」 (あくまでも「一元論」ではありません!) 的な立場を色濃く反映していることを、改めて指摘させていただくことは、実に興味深いことです) の方向性を表している、と指摘させていただきました。

この私の指摘に対して、この方は、国内の自己啓発者あるいは引き寄せの法則の信奉者は、彼の知るかぎり、例外なく「全員」、自分の好きな部分あるいは「幸せ」 (正) だけを 24 時間達成したいと望んでいて、結果的には、幸せと不幸の間を多重人格症的に行き来しているだけで、彼らには、北岡ワークで達成できるような幸せ (正) も不幸 (反) も統合超越する「二律背反の再統合」 (合) の方向性がないですね、という、実に興味深いコメントをされました。

この方は、「引き寄せの法則」の日本での紹介のされ方はよくないですね、やはり、原書を読むなり、聞くなりすべきなのでしょうね、と付け加えられました。

以上のことに興味をもたれた方には、北岡の著書と翻訳書 (特に「北岡メルマガ バックナンバー」)、北岡特別メルマガ講座の購読をお勧めいたします。

さらに、北岡は、現在、本格的な個人セッション サービスを提供していくことを企画していますが、これらの個人セッションでは、上記の「「決断力」、「集中力」の精神状態である『ゾーン』にどのようにして即、恒常的に入れるか」についての奥義を伝授していくつもりにしています。

作成 2022/11/22